<N2O>オゾン層破壊の主犯「規制強化を」米研究チーム

<N2O>オゾン層破壊の主犯「規制強化を」米研究チーム
毎日新聞 08月28日11時27分

 肥料の使用や化学物質の製造過程で出る「亜酸化窒素(N2O)」が、現時点でオゾン層を最も破壊する物質であることを、米海洋大気局の研究チームが突き止め、28日付の米科学誌「サイエンス」で発表した。N2Oは温室効果ガスとして先進国に排出規制が課せられているが、オゾン層保護の規制対象ではない。研究チームは「排出制限はオゾン層保護と温暖化抑制の両方に有益」と、厳しい規制を求めている。

 オゾン層は、生物に有害な太陽の紫外線から地球を守っている。かつてフロンやハロンがオゾン層を破壊することが分かり、「モントリオール議定書」(87年採択)で規制が進んだ。一方、N2Oは規制対象外だ。

 研究チームは、フロンや四酸化窒素など9物質について、排出量を基にオゾン層への影響を比較した。その結果、87年はフロンの一種「CFC-12」が最も高かったが、08年にはN2Oが最大となり、影響は2位の物質の2倍以上だった。チームは、人間活動に伴うN2O排出は今後も増え、21世紀最大のオゾン層破壊物質になると予測した。

 N2Oは二酸化炭素の310倍の温室効果があり、地球温暖化防止のための「京都議定書」で先進国に削減を義務付けた六つの温室効果ガスの一つ。環境省によると、日本の排出量(実重量)は90年度の10万3000トンから、07年度は7万7000トンまで減った。同省は「フロンのように工業製品として製造するものに比べて排出源が多様なので、途上国も含めた規制は難しいのではないか」と話す。【大場あい】

 ◇ことば 亜酸化窒素(N2O)

 一酸化二窒素とも呼ばれる。窒素酸化物の一種で、自然界に存在するほか、化石燃料の燃焼や肥料の使用、硝酸など化学物質の製造過程で発生する。「笑気ガス」として歯科治療などにも使われる。大気中のN2Oが成層圏で光によって分解される際に酸化窒素(NO)ができ、それがオゾンを分解する。

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